菊花賞は、ダービー、オークスと同様に3歳馬限定のレース、いわゆるクラシック三冠競争を担うレースだ。
2016年の菊花賞の出走予定の馬はすべて牡馬である。出走条件は3歳牡・牝なので当然牝馬も出走できるが、今年の出走馬は全て牡馬。菊花賞は今現在日本にある牝馬の出走できるGⅠのなかで、最も牝馬が勝っていないレースなのだ。
どういうことか?菊花賞では最後に牝馬が優勝したのは1947年のブラウニーなので69年前のこと。ウオッカが2007年にダービーを制するまでは64年間牝馬の優勝がないレースということで1位であったが、現在では最も牝馬優勝から遠いGⅠは菊花賞となった。
ちなみに第2位は皐月賞で、68年前の48年ヒデヒカリぶり、ということで今年もディーマジェスティ(牡馬)がかったため菊花賞が終わるまでは同立一位だが、菊花賞に牝馬が出走しない以上、菊花賞の記録更新は間違い無し。
それもそのはず、牡馬に混ざって優勝できるほどのポテンシャルを持った牝馬に、この時期に無理をさせる必要などどこにもないからだ。栄誉が欲しければ牝馬三冠路線で充分なのだ。挑戦するだけバカというもの。そのバカそのものの挑戦を成し遂げたウオッカがどれほど凄かったのか、推して知るべしだ。
そんなこんなで牝馬は挑戦すら少なく、今年も牡馬のみで争うことに成る菊花賞。ダービーで涙をのんだ馬たちが、菊花賞で無念を晴らしたこともこれまでもある。昨年の優勝馬キタサンブラックも菊花賞で無念を晴らした馬である。
2016年のダービーで1番人気であった蛯名正義騎手の騎乗するディーマジェスティも出走予定馬になっている。ただこの時の一番人気は蛯名正義騎手にとって未勝利のダービー24回目の挑戦もあって応援馬券も多かったのだ。2016年のダービーを制したマカヒキは凱旋門賞に出場のため、今回の菊花賞は回避である。
昨年の菊花賞を制したキタサンブラックはダービーでは14位だった。3歳馬ならではの成長である。またダービーは2400、菊花賞は3000である。勝馬選びは距離の面で見ることも大切である。そのためスタミナ、騎手のレース配分のうまさなども考えながら選ぶ必要がある。
注目したいのはダービーでマカヒキと僅差で敗れたサトノダイヤモンド、騎手も乗り変わりがなければルメールといった安定した騎手である。先にあげたディーマジェスティもベテランの蛯名騎手で前走のセントライト記念で優勝し出場を決めている。距離には不安があるが侮れない存在である。
他には神戸新聞杯でサトノダイヤモンドに僅差で敗れたミッキーロケットも注目馬である。
また、距離の面で言うならば、無駄なくクラシック路線を走ってきた馬たちにとって、2400m以上の距離は菊花賞に至るまでダービー、神戸新聞杯程度でしか体験する機会がない。
一方で、賞金不足などにより本戦以外にもレースを使わざるを得ないような馬は、エリートたちの未体験である距離を使うこともある。例えば2600の阿寒湖特別を制したカフジプリンス、札幌日刊ステークスを制したウムブルフなどだ。
斤量は全頭57.0kg。ハンデなしの待ったなし。エリートに一泡吹かせるにはまたとない舞台であるのが菊花賞。