2014年菊花賞馬トーホウジャッカル、デビューは遅く3歳になってからの5月末。未勝利戦にも勝ち切れず3戦目でようやく勝ち抜いたのは7月になってからとギリギリでした。
正直、期待されていたとは言いがたい中でクラシック最後の菊花賞へ臨むべく前哨戦神戸新聞杯へ出馬し、9番人気ながら3着へ滑り込み優先出走権を得てジャンプアップ。本番では優先出走組ということで3番人気に推されましたが、実績はまだまだ劣る中、これまでのレコードタイムの3:02.7を1.7秒縮める3:01.0での優勝はまさに圧巻の一言。デビューから半年足らずでのG1制覇となりました。しかも、大幅なレコード更新。
菊花賞は長距離レースになるため、レコードタイムが更新されるときは大きく更新されるとはいえ、過去類を見ないほどの大幅な更新に当時は大きく湧き上がりました。
タイムだけを見れば出走馬18頭中13頭が以前までのレコードタイムを上回るという超高速展開となった菊花賞でしたが、なぜそういったことが起こりえるのでしょうか?単純に競走馬の力だけで比較して、昨年出走の13頭がレコードホルダーである2006年のソングオブウインドよりも格上であるとするには少々無理があるように思えます。
まずは競馬が1頭でタイムを競って全力疾走するような競技ではない、ということに起因するのでしょう。同程度の力を持った馬同士で競争しあうことでより限界に近いタイムを出せる反面、一人圧勝ムードで全力疾走しては競走馬の寿命を縮めかねないため、周りに合わせた全力でレースを流すことにもなります。
また、展開による影響も大きいでしょう。逃げ馬不在で、全員が差し脚の勝負を望んでいた場合、前半は誰も前に行こうとせずにスローペースで終盤まで持ち込まれ、結局ラストスパート以外はジョギングのようになってしまうケースなども考えられます。
更には、コースのコンディションも悪ければ更にタイムは遅れることになりますので、2014年の菊花賞は様々な要因が入り混じり13頭もがレコードを更新するような異常とも言える自体が発生したのです。
今年の菊花賞もキタサンブラック、ミュゼエイリアンと世代を代表する先行馬が登場しますので、彼らの叩き合い次第ではまた高速展開となる可能性も大いにあります。
全力で走ることが競走馬の脚に負担をかけることは間違いないことだとは思いますが、できることならば全力でレコードに立ち向かうようなアツいレースを観戦したい、その上でぜひとも人馬ともに健康で戻ってきてほしいですね。